ヴィクトリア女王以降英国王室に次々と血友病が増える
血友病は突然変異でおこることもありますが、多くは遺伝的なものです。
そして血友病の保菌者(キャリア)から生まれた子供の場合、男性は血友病が発病し、女性は保菌者(キャリア)となり、代々受け継がれていってしまうことになるのです。
有名な例がヴィクトリア女王の血友病です。
ヴィクトリア女王以前は英国王室に血友病患者はいませんでした。
血友病の遺伝の仕方ですが、母が血友病患者である場合には、男子は100%血友病となり、母が保菌者である場合には男子は50%の確率で血友病患者となります。
ヴィクトリア女王の父であるケント公は血友病患者ではなく、母方にも先祖代々血友病患者はいません。
血友病が100%遺伝のみで起こる病気と考えられていた頃は、先祖のいずれにも血友病患者がいない血友病患者としてヴィクトリア女王は、ケント公の実子ではない、とされていました。
しかし、現在では血友病が「突然変異」によっておこる確率は30%前後あることがわかっており、ヴィクトリア女王の場合も突然変異による血友病であったとみられています。
ビクトリア女王以降、英国王室には多くの血友病患者が出ています。
ロシア帝国のニコライ2世の長男・アレクセイ、スペイン王子アルフォンソ、ゴンゾーロ、プロシア王ジグムントの弟ワイデマール、ヘンリッヒなど、多くの王室の人間が血友病でこの世を去ることになりました。
それだけではなく近隣の王室との婚姻などで、さらに大きく広がっていったのです。
現在、血友病患者であった男子は全員子孫を残さずに死亡し、英国王室における血友病の遺伝子は絶えたと言われています。